新卒で入社した会社を辞めるまで part.6

 

別会社のおっさんに、誘われた飲み会の日。

茶髪の兄さんと、

待ち合わせて行くことになった。

 

僕は少し早めに待ち合わせ場所に向かった。

15分前には着いたのだが、

すでに茶髪の兄さんは、

待ち合わせ場所に着いていた。

 

茶髪の兄さんと一緒に飲み会の会場へ

行く途中の会話は、

僕にとってとてもありがたい会話になった。

 

茶「仕事大変だろう?」

 

僕「大変です。なかなか覚えられなくて…」

 

茶「結構なれるまで大変だからな。」

 

僕「はい…。先輩すごいですよね。あんなに沢山いろいろなこと覚えれていて。」

 

茶「まぁいろいろ大変な思いしてきたからな。そういえば、(金髪の)あの先輩から随分怒鳴られてるみたいだけど気にすんなよ。」

 

僕「え、あ…はい。でも仕事を覚えられない僕が悪いんですよ…」

 

茶「いや、あの先輩(金髪)も、僕君にあんだけ怒鳴ったら、アイツ(僕)明日仕事来んかもなってよく俺に言ってくるんよ。たぶん先輩自身も言い過ぎてる自覚はあるんだと思う。それでも腐らずちゃんと仕事に来る、僕くんはようやっとるって思うよ。」

 

僕は先輩にそう言われ、

ちょっと照れくさかった。

尊敬している茶髪の兄さんが

そんなふうに言ってくれて嬉しかったから。

そんな会話をしていたら

宴会の会場へ着いた。

 

別会社の誘ってくれたおっさんが、

笑いながら出迎えてくれる。

宴会会場には、

30人くらいの人達が集まっていて

貸し切りになっていた。

みんな同じ部署の人達なんだけど、

誰が誰だからよく分からなかった。

 

宴会は誘ってくれたおっさんが

全てのお金を持ってくれていた。

すごい金持ちなんだろう。

そのおっさんは、親方であり社長だった。

 

宴会は凄かった。

女のコンパニオンを5人くらい呼んでいて、

その人達に酒を注がせる。

ここはキャバクラか?と思った。

キャバクラに行ったことなかったけど。

 

宴会が終わると、次の宴会へ行く。

二次会に残ったのは8人くらいだった。

僕を誘ってくれた親方のおっさんが、

次も行こうや。と誘ってくれたので

ついていくことにした。

茶髪の兄さんも一緒に来てくれた。

 

タクシーに乗り、(これもおっさんの奢り)

次は本当に、キャバクラに行くことに。

ちなみに僕はその時、18歳だったのだが

入ってよかったのだろうか。

 

おっさん達は凄いハイテンション。

僕はちょっと苦手だった。

何を話せばいいのか

よく分からなかったから。

 

キャバクラを出て

最後にラーメンを、残った人達で食べて、

お開きになった。

時間は深夜3時。

眠いを通り越して、目が覚めていた。

いろいろな経験ができて楽しかった。

その場で僕は、

おっさんにありがとうございます。

と感謝の気持ちを伝えた。

 

そして休み明けの仕事の日。

普通に怒られながらも仕事をしていた。

宴会に誘ってくれた、おっさんとすれ違う。

ただ挨拶だけした僕。

 

その日からおっさんは、

あまり僕に絡んでくれなくなった。

なぜなら、

その日に改めてのお礼を言わなかったから。

 

僕は知らなかった。

社会人は宴会や、

飲み会の席を奢って貰ったら、

昨日(先日)は、ご馳走さまでした。

という一言を

大切にしなくてはいけないことを。

奢って貰って、

当然なんて考えてはいけない。

相手はかなりのお金を払って、

僕達を楽しませてくれたのに、

感謝の言葉をその場かぎりだけにしては

失礼だったのだ。

 

あの新人は、会社で会っても、

宴会の時のお礼一つも言わない、

常識外れな奴だと思われていた。

 

それに僕が気づいたのは、

数カ月経って明らかに、

誘ってくれたおっさんの態度が

今までより

冷たいことに気づいてからだったが。

 

少しずつ、

社会とのズレを持つ

僕に周囲が気づき始めた。

 

[退職まで残り329日]