新卒で入社した会社を辞めるまで part.4

なかなか仕事が覚えられない中、

最初の一週間がやっと終わった。

 

学校でむかえる週末休みとは違い、

社会に出ての週末休みは、

もう嬉しくて嬉しくて仕方なかった。

 

やっと休める。

やっと一週間経った!

そんな嬉しい気持ちでいっぱいだった。

 

だけどせっかくの休みなのに、

会社の疲れが残っているのか、

何もしたくなかった。

 

そうして、何もしないまま、

ただ寝て、土日の休みを終えてしまった。

また会社での、一週間が始まる。

そう思うと、夜なかなか寝付けなかった。

 

早めに会社に出社し、

僕が書類を書こうとしていたら、

茶髪の兄さんがやってきた。

 

茶髪の兄さんは、今日は違う現場で、

機械の修理があるみたいだから、

書類は今日は、書かなくてもいいとのこと。

 

違う現場?嫌だなぁと思った。

僕はいつもと違う事をするのが、

とても苦手だから。

 

普通の人との考え方の違いや、行動の違いが、

あからさまにでてしまうから。

 

違う現場での修理は、

結構、大掛かりな事をするみたいで、

違う会社の社員の人達と、一緒に作業する。

その日は3人の別会社の人達がやってきた。

 

現場に到着すると、大きな工事だった。

その工場の配管の検査や、

工場の機械をバラして異常がないかを、

点検する作業を任された。

 

茶髪の兄さんは、テキパキと必要な道具を

工場に持ち入れている。

「おめぇもボサッとせずに運ぶの手伝えや」

と強めの口調で金髪の兄さんは僕に言った。

「すみません。」

そう言って僕は、

茶髪の兄さんに駆け寄って、

持ちますと声をかけた。

「もうちょいでつくからええよ。」

茶髪の兄さんがそう言う。

ならいいかと思い

僕は茶髪の兄さんについていった。

 

現場について、後から来た金髪の兄さんが、

「なんでおめぇ持たんのなら」と

ドスが聞いた声で聞いてきた。

僕は少しビビってアタフタした。

「おめぇ、まだ学生気分でいる気か?」

何も言い返せない。

いや、茶髪の兄さんが良いって言ったから、

持たなかっただけなんだが、

そんな言い訳もできなかった。

 

作業開始前から、少し落ち込み気味になる。

仕事が始まると、もっと大変だった。

 

金髪の兄さんがスパナを持ってこいと叫ぶ。

「分かりました。」と言って僕が取りに行くと、はよ走れ!と罵声が飛ぶ。

急いで道具を取りに行くと、

スパナの口の大きさを

聞くのを忘れたことに気がつく。

しばらく考えて、仕方ないので、

一本モンキー

(口の大きさを調整できるスパナ)

を持っていく。

「おせええよ」金髪の兄さんが怒鳴る。

さらに追加で、「なんでモンキーなら!」

と怒り始める。

おっさんからは、分からないなら聞けよ!

と言われる始末。

なんで皆してそんなに怒るんだ。と思う僕。

茶髪の兄さんが走ってスパナを取りに行く。

作業が進むにつれて、

僕は自分が何をやっているか

分からなくなる。

道具を取りにいけと言われたら

走って取りに行くも、

機械に服を引っ掛けた。

すると、おっさんが、

「周りをよく見て急ぐんじゃねえど。」

と怒鳴る。

 

おちょこちょいでマイペースな僕は、

もう辛くて大変だった。

早く終わってほしい。

この現場から早く帰りたい。

そうずっと考えていた。

 

8時間後、作業の目処が付き、

仕事の片付けに入る。

茶髪の兄さんが、帰るか。

と言って僕の肩をぽんと叩く。

はい。とうつむき加減で答える僕。

そこに金髪の兄さんが、

機械を指差して言った。

「おめぇ、あそこに

軍手おきっぱなしじゃねぇか!」

見ると僕のつけていた軍手だった。

すみませんと言い僕は取りに行った。

「おめぇの忘れ物のせいで、

そのまま機械が動き出したとき

不具合でたら、おめぇ責任取れるんか!」

僕はさらに気を落とした。

 

向いていないのかな…そう考え始めた。

だけどまだ一週間くらいしか

現場に出ていない。

こんなに簡単に辞めるわけにもいかない。

頑張らなきゃ。

そう思い、

仕事を続ける覚悟を忘れないようにした。

 

[退職まで残り358日]