新卒で入社した会社を辞めるまで part.3

初めて現場にいった日の夜は

よく眠ることができた。

馴れないことに

すっかり体が疲れきっていたのだろう。

 

2日目の現場への出社。

先輩の社員の人達より

早めに出社しようと思い、

就業の30分前には

職場の詰め所に座れるように準備した。

 

すると既に、茶髪の兄さんが、

僕が書くように言われていた書類を

書きはじめていた。

 

僕はどうしようかと迷った。

とりあえず、茶髪の兄さんに挨拶をする。

兄さんは、ニコッと笑って

挨拶を返してくれた。

 

挨拶を返してもらい少しホッとしたが、

問題はここからだ。

たぶん、茶髪の兄さんが、

遅く出社した僕の代わりに、

書類を書いてくれている。

 

だけど、本当は僕が書かないと

いけない書類だ。

この状況は、僕が変わりますと

申し出るのが普通だ。

だけど…頭では分かっているけど、

その第一声が出なかった。

変わりますの一言が言えなかった。

理由は自分に出来る自信が無かったから。

そして、相手が面倒臭い奴だなと、

僕のこと思うのではないかという妄想。

下手に変わります何か言って

上手くできなかったら、

どうするんだと勝手に自分を追い詰める。

 

そうこう僕が考えている内に、

金髪のお兄さんもやって来た。

金髪のお兄さんは机に座るやいなや、

おまえが書いているんか?と

いかつい声で話始めた。

茶髪の兄さんは、

まだ新人の子は慣れていないんで、

まだ代わりに書いています。と、

笑いながら話している。

フーンといいながら僕の方をチラッとみる

金髪の兄さん。

 

気まずい。

僕が本当は変わらないといけないのは

分かっている。

だけど言葉がでない。言えない。

僕はこの場にいずらくてたまらなかった。

何で僕はこんな簡単なことも

言えないんだ。。

 

時間と共に社員の人達が、

次々と揃い始める。

2日目のスタートは

最悪なスタートだと思えた。

 

現場へ到着し、みんなが作業を始める。

僕達の作業はある製品の修理で、

鉄工所には欠かせない製品だ。

その製品を2週間かけて

修理するのが仕事だ。

 

まだ全ての工程を見れていない僕は、

今日もただ教えてもらうだけの作業だ。

 

ただ昨日とは違い、

使用する工具の名前や保管場所は

教えてもらったので、必要な時に、

必要な工具を用意するのは僕の役目だった。

 

金髪の兄さんが、

メガネ(丸いスパナ)を持ってこいと、

茶髪の兄さんに言う。

茶髪の兄さんは、僕にメガネ分かるか?

と聞いてくれた。

僕は分かります!と言って、

工具を取りに行った。

 

だけど、取りに行ってみて

工具が入っている棚の前で、

僕はしまったと感じた。

どの棚に、メガネが入っていたんだっけ…。

 

棚を片っ端から調べるが

なかなかメガネがない。

焦る。確かに昨日教えてもらったハズだと。

 

まだか!

金髪の兄さんのドスの聞いた声が響く。

 

僕は焦るが目的のメガネが見つからない。

そうこうしていると、

茶髪の兄さんがやって来た。

 

どこにあるか分からなかったのか?

そう聞かれ、すみませんとだけ答えた。

茶髪の兄さんは、ここにあるよ。

と棚の中からメガネを取り出して、

急いで金髪の兄さんの場所へ帰っていった。

 

金髪の兄さんは、アイツに昨日、

場所教えたんじゃねえんか!

と言いながら

メガネを受け取り作業を続けていた。

 

僕はどうして上手くいかないのかと、

落ち込んだ。

その日から工具の棚の中身を

メモしようと考える。

その日は雑用をして終わった。

 

昨日教えてもらった、最低限のことも

ちゃんと覚えられていない始末だった。

僕はどうしてこんなにも

覚えていられないんだと、

落ち込んだが、まぁその内覚えられるか。

そんな風に考えていた。

 

だけどその内はやってこなかった。

 

[退職するまで残り363日]